いいことがあると、機嫌がよくなる。反対に、よくないことがあると、機嫌が悪くなる……。
こういう人は、端から見ると、とても分かりやすい人です。また正直な人でもあります。意外と付き合いやすいタイプかもしれません。
基本的に悪い人ではないので、特に問題はなさそうに見えますが、そうではありません。本人が気づいていないだけで、実害はかなり大きいです。
何がよくないのかと言うと、相手にいいようにコントロールされてしまうこと。特に機嫌がいいときに、それが起こりやすくなります。
「今日は部長の機嫌がいいぞ」
そう見た部下が何をするのかと言うと、「実は、こんなことがありまして……」と、ミスの報告をしたり、「こういうのはどうでしょうか?」と、自分がやりたい企画を通そうとしたりします。機嫌がいいだけに、厳しいことも言いません。
「そうか、分かった」「それでいいよ」
こんなふうにカンタンに済ませがちです。本来ならミスの原因を追究させたり、企画のブラッシュアップを指示したりしなければならないのに、その役割を放棄してしまいます。こういう無責任な上司は、今の日本にも少なからずいます。
逆に、機嫌がよくないときは、「さわらぬ神に祟りなし」とばかりに、部下は上司に接触しようともしません。こういうときには、ミスをしたとしても報告しないし、反対されかねないだけに企画の相談もやめてしまいます。
この調子では、部下は機嫌がいいときにだけこの上司に寄ってくることになります。
これでは上司としての体を成していません。結果として、部下の都合がいいようにものごとを進めることになります。上司が部下のいいようにあしあらわれています。
こういう弊害を防ぐには、いつも機嫌をよくしていることです。いいことがあっても、反対によくないことがあっても、いつも機嫌がいい状態にします。
いつも機嫌がいい上司が、穏やかかつ明るい表情で部下に接して、ミスしたときは原因を追究させ、やりたい企画はもっとブラッシュアップさせます。
こうなると、部下としても緊張感を持って接するようになります。結果として、それが部下を成長させることにつながっていきます。