「こうしたほうがいいよ」「こういう考え方もあるよ」「これは参考になるかもしれないよ」……
なかなかうまくできないでいる人を見かけると、こんなふうに気さくにアドバイスをする人がいます。本人は、親切のつもりでやっていて、他意はありません。
アドバイスとは、あくまでも1つの提案です。本来的に強制力を伴いません。
もし強制力があるとしたら、それは命令です。もはやアドバイスとは言えません。
残念ながら、自分の言っていることは正しく汎用性があり、「100%うまくいく」と思っている人がいます。このタイプには、年令や立場が上の人、成功体験を持つ人が多いです。
自分のやり方や考え方に自信を持つのは、悪いことではありません。本人は「このやり方や考え方なら、「絶対にうまくいく」と信じきっています。
そのやり方や考え方は、アドバイスをするその人に合っていたのは間違いありません。その意味では、「効果はある」と言えます。
もっとも、そのやり方や考え方が、アドバイスを与えた人にも有効かどうかは微妙なところです。合う・合わないは試してみない限り、判明しません。
そのやり方や考え方が合えば、アドバイスをもらったほうは、感謝します。そのおかげで殻を破ったり、ひと皮むけたりします。
反対に、そのやり方や考え方が合わない場合、アドバイスをした人は、「ちゃんとやらないとダメだよ」「何をやっているんだ」「やる気があるの?」と、相手を責めたり批判したりします。
アドバイスされたほうも、いいかげんにやっているわけではありません。そのやり方や考え方が合わないだけです。
本人にピッタリのやり方や考え方を実践していけば、必ずうまくいきます。それがなかなか見つからないから、いつまでも足踏みしています。
アドバイスをするのなら、相手にピッタリ合うやり方や考え方を提案するべきです。往々にして、人は自分に合ったやり方や考え方を取り入れるように提案します。
それが相手に合う確率は高くはありません。合わないものを提案されても、いい迷惑です。
アドバイスをするのは、本当に難しいものです。相手に合わないものを提案するのなら、アドバイスをする意味がありません。