2022.10.8.

サンクコストは取り返せない、、、

 ビジネスをしていると、どんなにしっかり計画を立てて、準備万端で臨んだとしても、ときに「このまま続けたら、大変なことになる……」という事態が生じてしまうものです。「このままではマズイ」と感じるのは最初のうちは一部の人だけだとしても、危機意識は徐々に浸透していって、やがてほとんどの人が共有するようになります。

 このとき迫られるのは、取り組んでいるそのビジネスをどう処理していくのかということ。その判断は、早ければ早いほどいいです。考えられる対処法は、主に3つ。

1つ目が、撤退する。せっかく始めたことをやめてしまうのはもったいないですが、傷が浅いうちに撤退したほうが、組織全体のダメージを最小限に抑えられます。

 2つ目が、軌道修正する。一時的に中止をしたうえで、コンセプトを大胆に見直し新しいものにつくり変えて再出発します。言い換えれば、大幅なリニューアルです。

 3つ目が、そのまま続ける。状況が変わっても、うまくいく可能性はゼロに近いのに、撤退も軌道修正もしません。続けていくうちにダメージが蓄積されてしまうと、やがて組織全体の致命傷となることもあり得ます。

 3つのうちどの判断が好ましいかと言うと、当然ながら1つ目です。百歩譲って、2つ目で、とるべきではないのが3つ目。現実はと言うと、その逆になっています。

 なぜ「うまくいかない」のが明らかなのに、続けてしまうのかと言うと、原因は2つ。このどちらか、あるいは両方によって、被害が拡大することになります。

1つが、メンツやプライドを優先しているから。始めた以上、「途中で降りるわけにはいかない」と、意地になって強引に続けていきます。

 もう1つが、サンクコスト(埋没費用)が発生しているから。撤退してしまうと、これまで投じた費用がムダになってしまうから、やめられなくなってしまっています。

 すでに投じたコストは、ビジネスがうまくいっても、反対にうまくいかなくても、取り返すことはできません。前者の場合はリターンが発生することはありますが、コストとは別物です(リターンは、「ご褒美」ととらえたほうがいいです)。後者の場合は、いわゆる「ドブに捨てた」ことになります。

投じたコストにこだわると事態を悪化させるだけでなく、組織の崩壊という悲劇的な結末が待っています。この現象は、日本中の至るところで見られます。

絶対に取り返せないのが、サンクコスト。そこにこだわるのは、おかしなことです。

(朝の独り言)
今日は、中村天風先生プログラム参加者とのミニレクチャーと、質疑応答を兼ねた懇親会でした。遠くからも参加してくれている方もいて、とても懐かしく、嬉しいひと時でした。
やはり、直接お会いすると凄く充実します。直接お顔を見て話すからこそ、お互いに伝わるものがあります。元オリンピック選手など人生本気で生きてきた皆さんが、これからさらに活躍していくのを楽しみにしています。