「あなたはラクをしたいですか。それとも大変なことがあってもかまわないですか?」
こんなふうに問われたら、前者と答える人が多そうです。特に定年間際のビジネスパーソンであれば、仕事上のさまざまな重圧から一刻でも早く解放されたくて、「早くラクになりたい!」と思うに違いありません。
考え方や生き方は、人それぞれ。ラクと大変のどちらを選ぼうが、自由です。
そのことは分かったうえで、あえて言います。ラクを選んでいいことなど1つもありません。「ラクをしたい」という考え方、生き方を選ぶ人は、しょせんそこまでの人です。
これからもラクを選んで生きていけばいいです。おそらく人生がいい方向に進むことはないはずですが……。
大変な思いをするよりラクなほうがいい……。そういう気持ちになるのは、分からないでもありません。大変な仕事が続いたあとに、自分自身を休めるために一時的にラクをするのは、アリです。
とは言え、それが続くことを望んだり選んだりするのは論外。ラクは、自分自身を確実に退化させます。
常習性があるだけに、そこから抜け出すのは至難の業。気がついたときには、大変な思いをすることを回避するようになっていて、成長することも誰かの役に立つこともできない人間になっています。
ラクをするとは、自分自身が一時的に快適だったり安心したりすることと引き換えに、成長を止めてしまうことです。
今この瞬間は心地いいかもしれませんが、それは「大変なこと」を先送りしているにすぎません。
成長しないでいれば、これから起こる大変なことに対処できるかどうかも怪しくなります。
成長していればスムーズに対処できることでも、ラクをしたばかりに自分自身の実力が低下してオロオロしたりバタバタしたりの連続。
結果的に、それほど難しいことにも対処できなくなって大変な事態を招いてしまい、どうにもならなくなります。
ラクをすることを選んだとすれば、その後の人生にいいことが起こることはまったくありません。むしろ自ら大変な思いをする人生を招き寄せています。
ラクをするのか、大変な思いをするのか……。どちらか1つを選ぶとすれば、やはり後者。それを選んだ人が成長して、のちに快適で安心な人生を手にすることができます。