2020.6.22.

上司は、部下に鍛えられる、、、

 職場における上司の役割は、部下が成長し、かつ結果を出せるように導くことです。部下を成長させるために、「鍛えなければならない」と思っている上司は、たくさんいます。もしかしたら、あなたもその1人かもしれません。
この考えは、明らかに間違っています。「パワハラ」に相当するから「間違っている」と思っているとすれば、根本的な認識不足です。
鍛えるのは、部下。鍛えられるのは、上司。「鍛える」という観点から見れば、そう言えます。それが、本来の職場のあり方です。
もともと上司と部下の間には、それほどの能力差はありません。差があるとすれば、知識や経験ですが、現場のことは部下のほうが上司より詳しかったりします。
部署全体の成績をよくするためには、当然のことながら、上司は部下に成長して結果を出してもらわなければなりません。それも1人残らず……。
そのために鬼軍曹になって鍛えようと思っても、部下はついてきません。強制や命令によって成長する人など皆無です。
上司がムチで動かそうと思ったら、部下は反発してやる気をなくします。これでは、部署全体の成績がよくなることもありません。
上司ができることは、陰から見守ったりアドバイスを与えたり責任をとったりすること。「親はなくとも子は育つ」と同じで、上司がいなくても、部下は成長します。
失敗しても上司がフォローしてくれると分かれば、部下は安心して仕事に取り組めます。全力を出すのはもちろん、新しいことにも果敢にチャレンジします。
部下が成長して結果を出すように導く、そのプロセスにおいては、忍耐やガマンを強いられることが日常茶飯事。
成長度合いも1人1人異なるし、なかにはやる気をなくしたり反抗したりする人もいるかもしれません。
そうしたときでも「何をやっているんだ!」と叱っても意味がありません。辛抱強く見守っていきます。
文句の1つも言いたくなっても、ガマンすることの積み重ね。言い換えれば、部下が育つプロセスそのものが、上司を鍛えてくれます。そう、実は部下が上司を成長するように導いてくれます。
上司が部下を鍛えるのではありません。部下が、結果として上司を鍛えてくれます。
結果を出している上司は、そのことをよく知っています。知らないのは、結果を出せない、つまり部下を育てようとせず鍛えようとする上司です。