「はじめのいーっぽ!!」
そう大きな声で叫んで、鬼が目を閉じている間に1歩分だけ前に進むのが、「だるまさんが転んだ」の始まりです。子どもが1歩も進まなければ、この遊びを始めることができません。
初めの1歩を踏み出してから、鬼に近づくまでには十数歩分あります。「だるまさんが転んだ」と鬼が目を閉じてつぶやいている間に近づき、しかもそのフレーズを言い終わったときに静止できていなければ、自分が捕まってしまいます。スリリングさがあって、子どもには人気です。あなたも遊んだことがあるのではないでしょうか。
子どものころは元気よく初めの1歩を踏み出せたものですが、大人になると、それができなくなります。1歩踏み出すまでの時間がやたらと長い人もいます。
そんな人に思い出してもらいたいのが、子どものころの自分です。大きな声で元気よく「はじめのいーっぽ!!」と言って踏み出したあのころのあなたを……。
初めの1歩を踏み出せないのは、理由があります。それは、失敗するかもしれないから……。失敗への不安と恐怖が、あなたをますます慎重にさせます。そんなあなたを責めているのでも、まして嘲笑しているのでもありません。
あなたのその不安と恐怖は手に取るように分かります。だからこそ、こう言います。
「元気よく初めの1歩を踏み出しましょう。そのほうがラクになりますよ……」
1歩も踏み出すことがなければ、いつまで経っても同じ場所にいるということ。同時に、不安と恐怖がずっとまとわり続けます。そこから解放されるには、1歩踏み出すしかありません。1歩踏み出せば、あとは前に進むだけです。
1歩ずつ1歩ずつ大地に根づくように足を踏み出していけば、それだけで精いっぱい。おそらくほかのことを考えるヒマもなくなって、自分にまとわりついていた不安と恐怖もいつの間にかなくなっています。
歩き続けているあなたは、途中でこう思うようになります。「もし失敗したとしても、そのときは軌道修正すればいい……」と。
どんなことにも初めの1歩があります。それは、スタートも軌道修正も同じ。
踏み出すのであれば、元気よくいきたいものです。子どものころに「はじめのいーっぽ!!」と叫んだように……。