「おかげさまで元気に過ごしています」……
あなた自身、こんなふうに言ったことも言われたこともあるかもしれません。「おかげさま」という言葉は挨拶のときによく用いられますが、その本質までとらえている人は少ないようです。
「おかげさまで」と言う人が、目の前の相手に具体的に何かしてもらったわけではありません。元気に過ごすためにアドバイスしてもらったり、精のつくものをもらったりしたということでもないです。
それなのにわざわざ言うのは、感謝を示すためです。その感謝は、特に目の前の相手に限っていません。
すべてのことへの感謝――。それが、「おかげさま」という言葉の本質です。
もっと言えば、生きていることそのものへの感謝――。生きていること自体に感謝しているから、「おかげさまで」という言葉が口を衝いて出るようになります。
このように言われたら、相手も安心します。同時に、うれしくなってきます。それは、感謝の気持ちが相手にも伝わったから。
その言葉をきっかけにして、場が明るく活性化します。相手にも感謝の気持ちが芽生えるようになります。
もし感謝の気持ちがなければ、「お元気ですか?」と聞かれても、「最近はかなりガタがきていまして」と答えるようになります。
それはそれで率直に語っているのかもしれませんが、言われたほうはうれしくもないし、「この人は大丈夫かな?」心配してしまいます。
必然的に場が暗くなって、よどんでいきます。相手も自分も気まずい気持ちになってしまいます。
誰のどんなおかげなのかを明確にしていないから、すべての人に対して言うことができます。生きていることへの感謝を示すものですから、初対面の人に言っても、抵抗なく自然に受け入れられます。
その言葉だけで、場が明るく活性化するのですから、言わないともったいないです。口グセになるくらい使いたいものです。
あなたは今日、「おかげさまで」と言いましたか。場を明るく活性化させましたか?