何か悲しくつらいことがあったとき。あるいはうまくいかなくて断腸の思いで何かを断念したとき……。
周りの人が落ち込んでいる本人をなぐさめようとして、こんなことを言うことがあります。それは、「時間が解決してくれるよ」というひと言。
確かに時間が解決してくれることは、いくつもあります。悲しいことやつらいこと、悔しいこともときが経てば、その気持ちがかなり薄れるものです。
なかには「そんなこともあったなぁ」と、過ぎし日を思い出して笑いにしてしまう人もいます。
時間が経てば、悲しさ、つらさ、悔しさが薄れてしまうのは、「忘れっぽい」からではありません。いくら何年、あるいは何十年前のことでも本当に悲しかったりつらかったり悔しかったりすれば、忘れることはないはずです。
それなのに以前あったことをまるで他人事のように懐かしく振り返ることができるとすれば、原因はたった１つ。それは、自分自身が「成長した」から。
悲しいことやつらいこと、うまくいかないことがあったときは、もちろん胸が張り裂けそうな気持になります。そのときは「もうムリ」「終わった」と、深い絶望を味わいます。
しかしながら、そこで人生が終わることはありません。一時的に打ちひしがれることはあっても、多くの人はそこから立ち上がって、再び歩き出すものです。そのまま何もしないでいては、その絶望を抜け出すことができないから……。
「このままではダメだ」と気づいて、悲しみやつらさに打ちひしがれていた自分、うまくいかなくて悔しい自分から、それまでとはちょっと違う、新しい自分に生まれ変わっていきます。
自分自身を変えることで、人生を変えていこうとします。
考え方、行動のすべてを変えていくと、いつしか悲しみやつらさに打ちひしがれていた自分、うまくいかなくて悔しい自分から脱皮していきます。
それは、成長したということ。
成長したことによって、悲しいことやつらいこと、悔しいことに冷静に向き合えるようになり、「そんなこともあったよなぁ」と、もがき苦しんでいた以前の自分自身を微笑ましく見られるようになります。
それは、時間が経過したからでもありますが、より正確に言えば、自分自身が大きく成長したからです。
「時間が解決する」は、こう言い換えることができます。それは、「成長した時間が解決する」です。
どんなことでも自分自身が成長していくことによって、乗り越えることができます。それは、悲しいことやつらいこと、悔しいことについてもピッタリ当てはまります。
