「そんなことは言っていないよ」「いや、確かに言ったよ」
「この間、言ったでしょ?」「エッ、そんなこと聞いていないよ」……
言った/言わない論争は、人類が誕生したときから今日までずっと続いている大問題です。今この瞬間にもきっと日本のどこかで行われているはずです。
解決する方法は、たった1つ。とは言え、この1つができないから、いまだに解決できずにいます。
それは、メッセージがきちんと相手に伝わること。言葉にすれば素っ気なさすぎて、「なんだ、そんなこと?」と思う人もいそうですが、想像以上に難しいことです。
伝わるとは、相手がそのメッセージをしっかり受け取ること。こちらが投げたボールを相手がしっかりキャッチできていなければなりません。
言った/言わない論争が起こるのは、相手にメッセージを一方的に投げつけるケースです。ほとんどの人は、相手が理解しやすいように伝えてはいます。それなのに、「聞いていない」と言われてしまうのには、理由があります。
キャッチボールのケースで言えば、伝えるほうは相手が捕りやすいように、ゆるいボールを投げてはいます。
そこまではいいのですが、せっかくゆるいボールを投げてはいても、ちゃんと捕ってくれたかどうかまで確認せずにいます。
「こんなにゆるいボールを投げているのだから、いくらなんでも捕れるだろう」と、勝手に決めつけています。最後まで見ていないケースが、圧倒的です。
受け取るほうにしても、ボールを捕ろうという気持ちはあっても、悩みごとや心配ごとがあって、上の空になって落としてしまうこともあり得ます。
あるいは最初から受け取る気持ちがなくて、ボールが来たら、ヒョイと身をかわすこともあります。
相手がボールを受け取っていないのに、投げたほうはそのことに気づいていません。相手が捕ったつもりでいるから、必然的に言った/言わない論争が起こります。
伝えたいメッセージがあるなら、それが素晴らしいものであればあるほど、相手がしっかり受け取ってくれたどうかを確認しなければなりません。それをせずに「言ったつもり」になっているのは、ただの残念な人です。
あなたの今日のメッセージは、ちゃんと伝わりましたか。相手が受け取ってくれたかどうか、最後に確認しましたか?