もしあなたがスポーツ、あるいは囲碁・将棋のような頭脳ゲームで次の2人と対戦するとしたら、どちらが怖い存在でしょうか。その相手とは、ベテランとビギナー。
あなたがベテランと答えるとしたら、知識・スキル・経験がまだそれほどない人です。もしかしたら、あなた自身がビギナーかもしれません。
反対に、ビギナーと答えるとしたら、百戦錬磨に違いありません。
ベテランになればなるほど、ビギナーと対戦するのが怖くなります。それは、「相手が何をしてくるか」まったく分からないからです。
知識・スキル・経験が豊富なベテランは、相手がどういう手を打ってくるかは、動きやたたずまいでなんとなくでも分かります。
相手の手の内が読めるから、冷静かつ的確に対応して、勝利をもぎとります。それは、長年の蓄積が成せる業です。
ところが、相手がビギナーとなると、どういう手を打ってくるかがまったく読めません。考えもつかなかったような手を打ってくるので、対応できずに一敗地にまみれることがあります。
多くのビギナーズラックは、このケースに該当します。
知識・スキル・経験がまったくない人……。それが、「ビギナー」です。同時に、常識やセオリーにとらわれない人です。
「何をしてくるか分からない」と恐れられるのは、約束ごとに縛られないからです。怖いものがないから、自由で大胆な行動ができます。
「こう来たら、こう返す」が通用しないから、ベテランでさえ戸惑ってしまいます。まさかの苦戦をして、最後は焦りから自滅してしまいます。
ベテランを倒したからと言って、知識・スキル・経験を蓄積するのを怠るようではダメです。
それらを積み重ねながらも、自由で大胆な行動を続けていけば、「怖いものなし」のベテランになれます。これが本当の意味での「初心忘るべからず」です。
人は誰もが最初はビギナーです。ただし、いつまでもビギナーのままでは進歩がなさすぎます。
ビギナーのようにふるまいながら、知識・スキル・経験を蓄積していく――。そういう人だけが、名人になっていきます。
ビギナーのようなベテラン。目指したいのは、そこです。
あなたは今日、自由で大胆な行動をしましたか。初心を忘れないでいましたか?