人間関係を維持するうえで大事なことは、いくつもあります。その1つが、「顔を潰さない」こと。
世話になっている人からの頼まれごとを引き受けて、「あの人の顔を潰すわけにはいかないからね」と、奮起する……。一般的にはこのように「顔を潰す」という表現が使われます。その使い方は間違いではないですが、解釈が間違っています。
多くの人は、「頼まれたことをやる=結果を出す」と、とらえています。もしそうだとしたら、頼むほうはよほどカンタンなことを依頼しなければならなくなります。
「結果を出す=顔を潰さない」ではありません。それは、ワン・オブ・ゼム。
頼んだほうの顔が潰れずに済むのは、もっと別のこと。それは、頼みごとを引き受けた人が持っている以上の力を発揮すること。それこそが、引き受けたほうが世話になっている人に報いることであり、顔を潰さないことです。
当たり前ですが、頼むほうもカンタンにできることを依頼しません。引き受ける人にとって難しいことこそ、頼むべきことです。引き受けるほうにしても、それをやり遂げることが恩返しになります。
難しいことですから、持っている力の100%を出して臨みます。それができたとしても、うまくいく保証はありません。持っている力以上のものを出して、うまくいくかいかないかのようやくギリギリ……。そこまでやって初めて、頼んだほうの「顔が潰れずに済みます。
頼んだほうにすれば、結果が出れば、御の字。たとえ結果が出なかったとしても、引き受けたほうが100%以上の力を出してくれれば、頼んだかいがあります。
引き受けたほうも成長するし、何より「うまくいかなかったけど、よくやった」という評価が世間からなされます。それは、同時に依頼したほうの「人を見る目」を立証すること。頼んだほうの顔も立ちますから、双方にとってうれしい事態になります。
逆に結果が出ても、引き受けたほうが持っている力を100%出さなかったとしたら、「カンタンにできることをやらせている」と、世間からマイナスにとらえられてしまいます。まさに顔を潰してしまいます。
「顔を潰す(潰さない)」という表現を何げなく使っている人がいますが、実態はかくも奥深いものです。そのことを熟知している人は、それほど多くはありません。
(朝の独り言☆)
今日も朝から来年の企画について案を練り出していました。編集担当と話をしていますと、どんどんやりたいアイディアが出てきます。その理由に、歯科医師として現場で仕事していること、また、年齢を重ねていくことで学びの価値あるものがよく解ってくること、著者という視点で常に社会を見て分析していること、などです。自分自身が好奇心を持って本やセミナーで学ぶだけでなく、色々な体験に投資していることも大事な要素です。
常に企画の中で、今 何を伝えることが読者の役に立つのか、ということを考えています。現在、数社でいろいろな企画を進めていますが、凄く楽しみでわくわくしています。