「若いころは、よく徹夜したものだ」「あのころは毎日残業だった」「俺なんか1日に何件も契約を取ったよ」……
飲み会の席で誰に聞かれたわけでもないのに、若いころの話を懐かしそうにする人がいます。たいていは役職に就いている人か、年配者。もしかしたら、あなたもその1人かもしれません。
若いころの話と言っても、自分がいかにすごかったかという自慢ばかりです。そう、過去の栄光を語っています。聞いている人にとってためになる「失敗話」は1つもありません。
周りにいる人たちは、上司もしくは年配者がうれしそうに話すので、黙って聞いているしかなくなります。必然的に独演会になっていきます。気分がいいのは、話している本人だけ……。
話しているほうは面白いかもしれませんが、聞かされるほうにすれば、あまりに時代が違い過ぎて、リアリティーに欠けます。周りの人たちが神妙に聞いているように見えるので、「圧倒されて声も出ないのだな」と、とんだカン違いをしてしまいます。
ガマンして聞いているだけなのに……。何かリアクションをすると、余計に長くなるので黙っているだけなのに……。
過去のすごかったときをうれしそうに話すのは、当時の栄光を忘れられない人です。それは、今がかつてほどすごくない、つまり、充実していないことの裏返し。
今も変わらずに充実していれば、過去にどんなに輝かしい栄光を築いていたとしても、懐かしんでいるヒマはありません。「そんなこともあったね」のひと言でかたづけてしまいます。
過去はもう終わったことだから……。また今が充実して過去よりもずっと楽しいから……。
頑張った事実が消えることはなくても、過去の栄光は、時間が経てば経つほど色あせていきます。それを懐かしんでいると、恐ろしいことに今の自分自身が色あせていきます。
それを避けたいのなら、やるべきことは決まっています。今を充実させていくこと以外にありません。