「こんなこともできないのか」「これくらいやってくれないと困る」……
部下が思うとおりに行動しなかったり、ミスを犯したりすると、厳しい評価をしてしまう上司がいます。
日本の職場には、このような減点主義の人が数多く存在しています。もしかしたら、あなたもその1人かもしれません。
減点とは、理由に関係なく、あらかじめ定めた基準を満たさなかったときに、マイナスの査定をしてしまうこと。マイナスの評価ですから、つけられたほうはいい気分にはなりません。
そもそも上司の思うとおりに行動できていないこと、ミスをしてしまったことは、部下本人がよく分かっています。うまくいっていない時点で、本人が自分自身にマイナス評価を下しています。
減点とは、自分に対してつけるもの。また自分だけがつけられるものです(過剰なマイナス評価は自信喪失につながるのでNGです)。
それなのに上司が減点してしまうと、部下は二重のマイナス評価を受けることになります。
上司は減点をつけるのが、役割だとカン違いしています。そのうえ部下をフォローするでもなく、マイナス評価をつけたままにしているのですから、あまりにも無責任。
こちらの思うとおりに行動しない、あるいはミスをしてしまう部下に対して、上司がすべきことは、ただ1つ。「こうすればうまくいった」「こっちをやったほうがよかった」という具体的なアドバイスとリカバリーの指示です。
その上司のアドバイスを取り入れて部下がうまくいくようになったとき、自分自身へのマイナス評価は消えます。と言っても、プラスマイナスでゼロに戻っただけ。
ここは上司が「よくやった」「さらに頑張ってくれ」という労いの言葉をかけていきます。
そうすると、部下もようやく自分自身にプラス評価をつけられるようになります。
部下が自分でプラス評価できる声がけをするのが、上司の務めです。
減点は、上司がするものではありません。それをする上司はなんの役割も果たしていないし、あからさまに責任放棄をしています。このことを実践している上司は、残念ながらわずかです。
あなたは今日、誰かにマイナスの評価をしましたか。それとも立ち直れるようにアドバイスをしましたか?