「組織を運営していくにあたって、求められるものは何か?」
こう問われたとしたら、多くの人は「安定」と答えるかもしれません。特に、マネジメントする側にすれば、より切実に求めたくなるような気がします。
「安定」という言葉には、組織の中にいる側からすれば、安心感をもたらしてくれます。安心感があるからこそ、なんの心配もなく働けるという側面は確かにあります。
もっとも、それは「まやかし」です。安定を求める人は、残念ながら、その言葉の本来の姿に気づいていません。それを知ったとき、愕然とします。なぜなら思っていたのとはまったく違っているから……。
安定とは、衰退……。こう言われたら、求めてはならないものであるのは、明白。
組織に安定を求めるとしたら、衰退を望んでいるということ。マネジメントする側が安定を求めたら、大げさに言えば、タイタニック号のような沈んでいく船に乗せるようなもの。
組織にいる人すべてを不幸にしてしまいます。
逆から考えれば分かりますが、組織が成長しているときは、安定することなどあり得ません。業務が拡大して、働くスペースも人員も足りなくなり、オフィス移転や新規雇用が日常茶飯事。
毎日がバタバタすることの繰り返しで、安定の要素は1つもナシ。毎日が刺激だらけで、退屈することもありません。
組織が成長している限り、こうした「安定とは無縁の日々」が続きます。それがいいことかよくないことかと言えば、もちろん、前者。
成長している組織には、安定などありません。忙しなくバタバタしていると、落ち着きを求めたくなるもので、だからこそマネジメントする側が安定を求めたくなってしまいますが、「ないものねだり」です。
安定は、成長が終わった途端に始まります。成長が終わった直後は疲労感もあって、刺激がない日々さえも新鮮に映りますが、それに慣れてしまうと、成長の日々に戻ることもできなくなります。退屈だらけの毎日なのに、抜け出すことができません。と言うより、退屈であることにも気づかなくなっています。
組織の中にいる側にすれば、マネジメントする側が安定を求めるようになったら、注意信号です。
それは、すでに衰退が始まっている証拠。内側から再び成長を求める動きをするか、そこから飛び出すかしないと、タイタニック号に乗せられかねません。
(朝の独り言)
最近、初めて出会う人の中で、この人の人生は素晴らしくなるなと思うことがあります。では、どんな人か…
人のために ご縁やより良くなるための力になっている人です。「利他の精神」が大切と昔から言われていますが、本当に最近はより実感します。大切でシンプルな法則も、年齢を重ねることで その意味と価値を深く理解できることを感じています。