2020.6.29.

相手に決めてもらう、、、

 商談や交渉ごとでは、契約をとったり合意に至ったりすることが、その最終目的です。目的を果たせれば、こちらの見栄やプライドなどどうでもよくて、体裁など「おかまいなし」のところがあります。
 こう言うと、土下座するとか過剰に接待するなどと思う人もいそうですが、明確に否定しておきます。ハッキリ言って、そんなことをしても目的を果たせるとは限りません。まったく無意味です。
 契約してもらったり合意したりするためには、相手の見栄やプライドをうまくくすぐることも必要です。そのためにすることが、「相手に決めてもらう」こと。
 たとえば、契約については相手が主導してグランドデザインを描き、大まかな内容を詰めていったというふうに表面上は持っていきます。
交渉ごとでも相手が主導してお互いにプラスになるように詰めていって、最終的にはなんの文句も不満もない、実に見事な落としどころで折り合ったというふうに演出します。
 大筋のところを決めたのは、相手。こちらはそれに沿って従っただけ……。
そんなカタチでまとめることができれば、ほぼ例外なく商談や交渉はうまくまとまります。ありていに言えば、花を持たせるということ。
 現実を言えば、主導したのも、内容を詰めたのも、落としどころを見つけたのも、すべてこちらです。
こちらで相手が納得し満足できる体裁を整えていったから、最終的に目的を果たすことができたということ。
 そんな実態を誇らしげに語ったりアピールしたりすることには、1円ほどの価値もありません。こちらが黙って、相手に花を持たせていれば済むことです。
逆に「こちらがすべて主導したから、うまくいったのではないですか!」と余計なことを口にしたら、せっかくまとまったものが水泡に帰します。縁の下の力持ちに徹していたほうが、はるかに得策です。
 どんなことであれ、またそれがほんのささいなことであったにしても、自分が「主体となって決めた」と思えれば、誰でも満足もするし納得もします。人はそれほど見栄やプライドにこだわるものです。
 商談や交渉ごとで、これを利用しない手はありません。相手に決めてもらうのは、名を捨てて実をとること。そのほうが、結果としてうまくいくことが多いものです。