「これだけの中からお選びいただけます」……
顧客に対して豊富な商品・サービスを提供できることをアピールするのは、よくあることです。選択できること自体が、顧客にとってはいいことに違いありません。
「これだけです」と言われて、それしか選択の余地がなかったら、不満や不安が残ります。売り手市場で、顧客不在です。
選べるということは、顧客重視の表れ。もっともその数がたくさんあればいいかと言うと、それもまた違います。
100種類から選べるとしても、最初のうちは「こんなにたくさんある!」と、1つ1つをじっくり見比べようとしますが、そのうちに疲れてきて、選ぶ意欲がなくなってきます。
選ぶことが面倒くさくなって、買うのをやめてしまっては本末転倒。選択肢が多すぎると、購買に結びつかなくなるのは、大いなるパラドックスです。
具体的に選択肢がいくつならいいのかと言うと、極端に聞こえそうですが、3つ。その3つの絞り方については、ポイントがあります。それもまた3つです。
たとえば、特徴が180度違うAとBをまず揃えて、その両方の特徴を併せ持つCを用意する。これは、AとBのどちらの特徴も気に入っていて、1つに決めかねている顧客に対して提案するアプローチです。「これならAとBの両方のいいところを持っています」というように、Cをアピールすれば、購入に踏み切ってくれます。
あるいは、特徴が180度違うAとBをまず揃えて、その両方よりワンランク上のCを用意する。AかBのどちらかを気に入ってはいるものの、決めかねている顧客に対して提案するアプローチです。
この場合、Aを気に入っているのなら、そのワンランク上のもの、Bが気に入っているのなら、そのワンランク上のものを提示します。「これならいい」と、顧客は満足してCを購入してくれます。
もう1つは、特徴が180度違うAとBをまず揃えて、そのどちらとも相容れないCを用意する。AとBのどちらにも興味を示さない顧客に対して、「これでいかかでしょうか」と提案するアプローチです。
AとBとはまったく違うCを見せられれば、「こういうものが欲しかった」と購入しれくれる確率はかなり高いです。
選択肢は多すぎてもダメ。少なすぎると、不十分。3つくらいに絞ったほうが、顧客も選びやすくなります。その満足度は、想像以上に高いものです。